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コラム

2006/01/26

<クマさん日記>内蒙古

蒼き狼の異名で知られるジンギスカンが統治していたモンゴル帝国には、内蒙・外蒙の区別は無く、蒙古民族が支配する広大な帝国と、大小の部族が領有する衛星国家から成っていた。

現在中国の国境沿いに、帯状に西北に連なる地域を内蒙と称している。年間降雨量400-500mmの半乾燥地帯で、農業は夏に栽培可能な、葡萄、ジャガイモ、トマト、タマネギくらいのものである。主な産業は、短い夏の間に行われる牧畜と乳製品作りで、羊、山羊、牛、馬、駱駝などが飼育されている。短い夏が終わると、秋はあるのか無いのか気づかぬ間に過ぎ、いきなり寒い西風が吹き始める。風は昼夜の区別無く、風速10-15mで吹き荒ぶ。平坦な屋根に粘土を乗せた、丈の低い民家が点在する。室内はガンガンに蒸気が通り、シャツ1枚で居られるが、冷たい風の中を、星明かりを頼りに屋外のトイレに行くには勇気がいる。

冬になると緑黄野菜が無く、住民はビタミン不足になりがちとなる。極北や砂漠の遊牧民のように、家畜の血液や臓物を採る方法もあるが、高価なため、一般庶民にはとてもできない食生活である。

零下30℃!自然界では、動きを止めた物は全て凍結する。この中でビタミンを生産して効率よく供給するシステムを構築しなければならない。それには、微生物に頼るのが現実的だ。原料は穀物。熱源は、暖房用のボイラー。これならできる。

まず、玉蜀黍を粉砕して煮た後に、Aspergillus glaucusを植える。この黴は、革や乾物にも生える程強靱な生命力を持つ。この黴を培養して澱粉を糖化させ、分解が進んだ頃合いを見計らって、加熱する。ただし澱粉が変質しないよう、菌の活動を抑制する程度に加熱するのがポイント。続いて、同系統のA.Oryzaeを培養すると、培地内にVB群が蓄積される。ここに乳酸菌を添加して、VC含有量を高める。培地には大豆を加え、味噌の形で消費する。うん!これで出来上がり。量産体制を整え、後は帰国。滞在期間1ヶ月半の仕事ととしては、上出来。宿と食事の提供を受け、北京までの旅費と地元の特産品を土産に貰ったが、技術料の感覚は無く、それきりになってしまった。

そう言えば近年、元東北試験場長の田中さんが、朝鮮族移住地で、浅い溜池をビニールで覆い、太陽熱で暖めた温水を利用して、稲作栽培を始めたそうだ。また別の場所では、、サッポロビール付属農場を定年退職した人が夫婦で移住し、ホップや葡萄栽培の技術指導をしていると聞いた。なるほど、持てる技術は分け与え、利用しながら継承して行くのも、開発者の生き甲斐なのだろう。

機関誌ニルヴァーナ(NGO)10号に掲載された「クマさん日記」シリーズより抜粋