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コラム

2005/07/05

トメの恋

元禄7年(1694年)川越藩主柳沢吉保の家臣・曽根権太夫が開拓に着手し、2年後の元禄9年に900余ヘクタールを開墾した。

各村の面積と戸数は、上富村が448ヘクタールで83戸、中富村が212ヘクタールで39戸、下富村が255ヘクタールで48戸であった。3つの富村は、別名を三富新田と呼ばれ、整然と地割りされた美しい田園の景観を、現在に伝えている。

しかしながら、当初灌漑設備の無い痩せた農地での耕作は天候異変が起きると忽ち凶作に陥り、離農者も続出したという。

その後明治4年(1871年)の廃藩置県と以後の町村合併を経て、平成8年(1996年)現在の三富(上富、下富、中富)が再興した。

オーストリアの科学者Auer von Weishbach(1858-1929)は、火焔をマントルで覆い、白熱を発する照明用ガスランプ・カーバイトランプを発明した。別名をアウエルランプ、オーエ(ル)ン灯などと呼ぶ。

明治初期の頃に住民が用いていた灯りは、せいぜい祝祭日に菜種油や松明を灯すくらいのものであった。其処に一人の欧州人が来て、いきなり真昼の太陽光に似たガスランプを灯して見せた。ガス灯の明かりは、若いトメさんだけでなく誰の目にも眩く、憧れと感動を与えたに違いない。村人たちは巨漢の紅毛人を遠巻きに見守る中、好奇心に満ちたやんちゃなトメさんは、物怖じせずに身振り手振りで彼に接した。

この西洋人は、医葯の知識を持ち合わせていたらしい。自生する薬草に茅の根で甘味を付けた湯液をトメさんに飲ませて、熱発や腹痛を治したそうな。

トメさんが彼を、「赤鬼!」と呼べば、「なんだこの騒々しい雌鳥が!」、と彼も負けずに切り返していたのだろう。しかし異国で孤独に生きる彼の心を、無邪気なトメさんがどんなにか慰めたに違いない。またトメさんの方も、大きな体をかがめて看病する彼に深い信頼を寄せ、やがて淡い恋心になったのも自然なこと。

−口承伝説をもとに作成−